放課後等デイサービス(放デイ)の運営でもっとも避けたいもののひとつが、減算です。とくに、人員欠如減算はその要件から適用されやすいため、事業者は日頃から人員の確保に留意する必要があります。
そこで今回は放デイの人員欠如減算について、対象人員や減算率のほか、全国での適用状況を紹介します。
放課後等デイサービスの人員欠如減算とは
人員欠如減算の対象人員や減算率は、それぞれ次のとおりです。
対象人員
放デイにおける人員欠如減算の対象人員は、以下の2つになります。
- 児童発達支援管理責任者(児発管)
- 児童指導員または保育士
なお、人員欠如減算の中では欠如する人員によって、「児童発達支援管理責任者欠如減算」と「サービス提供職員欠如減算」という名称で分けられています。
減算率
人員欠如減算の減算率は、下表のとおりです。
児童発達支援管理責任者欠如減算 | サービス提供職員欠如減算 | |
人員欠如の翌月~解決した月まで | —
|
【欠員が10%以上の場合】
全利用者の基本報酬30%減算 |
人員欠如の翌々月~解決した月まで | 全利用者の基本報酬30%減算 | 【欠員が10%未満の場合】
全利用者の基本報酬30%減算 |
減算適用から3か月以上 | — | 全利用者の基本報酬50%減算 |
減算適用から5か月以上 | 全利用者の基本報酬50%減算 | — |
たとえば、定員10名の放デイは、児童指導員または保育士が常勤換算で2.0人以上必要です。しかし、常勤換算で1.5人になった場合、25%の欠員が生じることになります。すると【欠員が10%以上の場合】の減算率、つまり基本報酬30%減算が適用されるのです。
放課後等デイサービスにおける人員欠如減算の適用状況
厚生労働省の実態調査によると、令和元年度において放デイでの人員欠如減算は33.6%の事業所で適用されています。これは、人員欠如減算が対象となる障がい福祉サービスの中で、もっとも高い割合です(第2位は就労継続支援B型)。
また、人員欠如減算の中でも、「児童発達支援管理責任者欠如減算」の適用率が高くなっています。これは、児発管の人数自体が少なく、退職などで欠員が出ても後任を確保しにくい状況が影響していると推測されます。
欠員が出てもスムーズに後任を補充するためには、児童指導員などが将来的に児発管になれるよう、キャリアアップの支援体制を整えておきたいところです。
まとめ
放デイの人員欠如減算は、職種や欠員の状況によって減算率が異なります。いずれにしても、可能な限り日頃から余裕のある人員配置にするか、後任を見据えたキャリアアップ支援が大切です。開業や経営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献