放課後等デイサービス(放デイ)は近年、ニーズの高まりとともに事業所数が急増しています。放デイが生き残るためには「利用者を選ぶ事業所」から、「利用者や保護者から選ばれる事業所」になることが必要です。
そこで今回は放デイと他サービスとの違いを踏まえながら、放デイの選び方で保護者が重視する点を紹介します。
放課後等デイサービスと他サービスとの違い
そもそも、「児童を預かって支援する」というサービスは放デイだけではありません。児童発達支援や日中一時支援、学童などもあります。それぞれの違いは、次のとおりです。
放デイ | 児童発達支援 | 日中一時支援 | 学童 | |
対象者 | 6~18歳の就学児 | 0~6歳の未就学児 | 1~64歳 | 6~12歳の就学児 |
利用時間 | 放課後や休校日の日中など | 日中 | 午前中~夜 | 放課後 |
役割 | 療育
居場所の確保など |
療育
家族支援など |
介護負担の軽減
日中活動の支援など |
預かり保育
学習支援など |
放デイとの併用 | — | ✕ | 〇 | 〇 |
上記のほか、児童発達支援や日中一時支援は人員や設備などの指定基準にも違いがあります。しかし、一見すると子どもを預けるのは「必ずしも放デイでなくてもよい」のが現状です。
そのような現状の中でも、選ばれる放デイになるためには「保護者が放デイに求めること」を知る必要があります。
放課後等デイサービスの選び方で重視される点
では、保護者が放デイの選び方で重視するのは、どのような点でしょうか。ここでは、大きく分けて3つ紹介します。
療育プログラムの内容や傾向
保護者がもっとも気になるのが、療育プログラムの内容や傾向です。
- 利用者それぞれの障がい特性に合わせた支援内容が提供されているか
- 中心となるカリキュラムはどのようなものか(預かり保育タイプ、学習支援タイプ、習い事タイプなど)
- 学校と連携が取れているか など
とくに、カリキュラムのタイプは事業所の特色に直結し、競合と差別化しやすいポイントです。ただし、支援内容が学習塾などに寄りすぎると「福祉サービスとして不適切ではないか」管轄の市町村から疑念を抱かれかねません。支援内容はあくまでも、利用者の障がい特性に合わせた発達支援を中心に考えましょう。
事業所や職員の雰囲気
事業所や職員の雰囲気で保護者が注目する点は、おもに次のようなものが挙げられます。
- 感覚過敏などがある利用者も過ごしやすい環境か(室内照明や騒音などに配慮しているか)
- 職員の対応は丁寧か
- 相談やトラブル発生時の対応はスムーズか など
職場の雰囲気は、一朝一夕では改善しません。開業直後はもちろん、運営期間が長くなっても保護者から好印象を持ってもらうよう、日頃から設備整備や職員教育などは力を入れていきましょう。
通いやすさ
放デイは、保護者のレスパイト(介護負担の軽減)も重要な役割のひとつです。そのため、保護者は放デイに次のような通いやすさも求めています。
- 送迎サービスを提供しているか
- 週何回、どれくらいの時間利用できるか
- 休校日や長期休暇中も利用できるか など
運営や定員の状況によっては、必ずしも保護者の希望をすべて叶えることは難しいでしょう。そのような場合は単に断るだけでなく、代替策を提案したり他の福祉サービスへの橋渡し役を担ったりするなど、保護者のサポートに徹することが大切です。
まとめ
放デイの選び方で重視されるのは、療育プログラムの内容や事業所の雰囲気、通いやすさなどです。開業や運営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献