就労継続支援B型は、就労に必要な知識や技術、社会的マナーの習得を支援する障がい福祉サービスです。「就労」というワードから、「就労継続支援B型も労働基準法が当てはまるのか」と疑問に思う開業者・運営者も多いでしょう。
そこで今回は就労継続支援B型と労働基準法について、適用の可否や注意点などを紹介します。
就労継続支援B型は労働基準法が適用される?
結論から言うと、就労継続支援B型の利用者に労働基準法は適用されません。就労継続支援A型と異なり、利用者は事業所と雇用契約を結ばず、「訓練生」の扱いとなるからです。
同じように、労災の適用も不可です。ただし、全国福祉保育労働組合や全国社会就労センター協議会などからは、労災が適用できない点について疑問視する声も。就労継続支援B型のような福祉的就労も、労災を適用できるようにしたほうがよいのではないかとする声が増えてきています。今後、就労継続支援B型と労働基準法にどのような変化がもたらされるか、注目です。
就労継続支援B型における「労働者性」に関する注意点
労働者性とは労働者の判断基準であり、「労働者性が高い=労働者として強く認定できる」という意味になります。なお、労働者とは労働基準法において「使用者のもとで働き、その働きに対する賃金を支払われる者」とされています。
このことから、一見すると就労継続支援B型の利用者も労働者のように見えます。しかし、先ほど紹介したように就労継続支援B型の利用者は「訓練生」であり、雇用契約を結ぶ「労働者」ではありません。
そのため、労働者性が高くならないよう、支援を提供する際には次の4点に注意しましょう。
- 出欠や作業時間、作業量などを事業者側で制限しない
- 工賃の減額や作業の割り当ての停止などの制裁を課さない
- 生産活動への支援は技術的指導に留める(指揮監督は行わない)
- 技能による工賃の差別を設けない
また、A型・B型が同一事業所内で作業する多機能型事業所の場合、次の3点にも注意してください。
- それぞれの作業場所や作業内容、シフト表などは明確に区分する
- 労災が適用されない就労継続支援B型の利用者には任意保険の加入を勧める
- 労働災害が起きないよう、安全衛生管理を徹底する
なお、就労継続支援B型の利用者から苦情の申し出があった場合は、障がい福祉サービスの指定基準にもとづいた対処が必要です。苦情処理窓口の設置や苦情処理マニュアルの徹底など、利用者が快適に支援を受けられるように配慮しましょう。
まとめ
就労継続支援B型の利用者は「訓練生」であるため、労働基準法は適用されません。しかし、利用者が就労の訓練に集中できるような環境作りは必要になってきます。運営や経営についてお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献
就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について|厚生労働省