就労継続支援B型では利用者の働きに対し、「工賃」というお金が生産活動収入から支払われます。就労継続支援B型を適切に運営していくためにも、開業者・運営者は工賃に関する知識をしっかり持っておくことが必要です。
そこで今回は就労継続支援B型の工賃について、その概要や計算方法、利用満足度との関係などを紹介します。
就労継続支援B型の工賃とは
就労継続支援B型の「工賃」は、就労継続支援A型の「賃金(給料)」にあたるお金です。具体的には、「生産活動収入から、経費を差し引いた額」が、事業所ごとに定める工賃支払基準に基づいて利用者に支払われます。原則として、加算算定などの報酬から工賃を支払うことは不可です。
また、就労継続支援B型では就労継続支援A型のような雇用契約はないため、最低賃金額を満たす必要はありません。しかし、1人当たりの平均工賃額を「月額3,000円以上」とすることが必要。また、可能な範囲での工賃アップが理想的であり、国も推奨しています。
平均工賃月額の計算方法
平均工賃月額は、次のような計算で算出されます。
平均工賃月額=(前年度に支払った工賃額)÷(前年度に工賃を支払った利用者数)
このとき、月の途中で利用を開始、あるいは終了した利用者数や工賃額は計算に含めません。また、「重度障がい者支援加算Ⅰ」を取得している就労継続支援B型では、上記の額に「2,000円」を追加した額が平均工賃月額となります。
なお、令和2年度における就労継続支援B型の平均工賃額は次のとおりです。
平均工賃 | 施設数 | 令和元年度(参考) | |||
月額 | 時間額 | 月額 | 時間額 | ||
就労継続支援B型 | 15,776円 | 222円 | 13,441か所 | 16,369円 | 223円 |
工賃の高さは利用者の満足度に影響する?
民間調査では、工賃額と利用満足度の間に有意な相関はみられなかったという結果が出ています。一概に「工賃が高い=利用者の満足度が高い」というわけではないようです。
また、「仕事の報酬が低いから低工賃」だとは限らないことも。通所日数が少ない利用者も受け入れるスタンスであれば、おのずと平均工賃も低くなるでしょう。逆に、低工賃でも「利用者がやりたいと思える仕事」であれば、満足度は自然と上がります。
まとめ
就労継続支援B型の工賃は利用者の働きへの対価であり、可能な限り工賃をアップしていくことが理想的です。工賃設定や経営についてお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献