障がい者グループホームを開業するときには、指定基準だけでなく、さまざまな法令に定められた条件を満たす必要があります。消防法も、そのひとつです。
そこで今回は、障がい者グループホームの開業に関係する消防法について紹介します。
障がい者グループホームと消防法
①必要な消防設備
消防法では、建物の種類によって「用途」が定められています。障がい者グループホームにおける消防法上の用途は、主に「項ロ」と「項ハ」の2つ。入居者の障がい支援区分4以上が概ね8割以上の場合が「項ロ」、それ以外が「項ハ」となります。
ちなみに、他に福祉事業所が併設されている場合は「複合用途防火対象物」となり、合算面積300㎡かつ延べ床面積が10%以上になると、「項イ」に該当します。
「項ロ」と「項ハ」の必要な消防設備は、次のとおりです。ただし、消防署によっては取扱いが異なる場合もあるため、事前に管轄の消防署へ確認すると良いでしょう。
項ロ
全ての建築物で必要
①消火器
②スプリンクラー設備(一部施設は275㎡以上)
③自動火災報知設備
④火災通報装置(③と連動)
⑤誘導灯
⑥屋内消火栓設備(延べ面積700㎡以上)
⑦漏電火災警報器(延べ面積300㎡以上)
⑧非常警報設備(収容人数50人以上)
⑨避難器具
(20人以上/下階に病院や診療所、公衆浴場、工場または作業場、自動車車庫または駐車場、倉庫などがある場合は10人以上)
項ハ
全ての建築物で必要
①自動火災報知設備
②誘導灯
条件によっては必要
①消火器(延べ面接150㎡以上)
②屋内消火栓設備(延べ面接700㎡以上)
③スプリンクラー設備(床面積合計6,000㎡以上)
④自動火災報知設備(入居・宿泊なし、延べ面積300㎡以上)
⑤漏電火災警報器(延べ面積300㎡以上)
⑥火災通報装置(延べ面積500㎡以上)
⑦非常警報設備(収容人数50人以上)
⑧避難器具
(20人以上/下階に病院や診療所、公衆浴場、工場または作業場、自動車車庫または駐車場、倉庫などがある場合は10人以上)
障がい者グループホームと消防法
②耐火性能の確保
障がい者グループホームには消防設備だけでなく、建物自体にも耐火性能を持たせる必要があります。具体的には、次のとおりです。
①間仕切壁を準耐火構造にする、かつ小屋裏あるいは天井裏まで到達させる
②廊下幅を確保し、直通階段を設置する
③排煙設備、非常用照明装置を設置する
④吹き抜け部分などの防火区画を設ける
まとめ
消防法は、障がい者グループホームを開業するときに必ず確認する必要がある法令のひとつです。しかし、定められている内容は多岐に渡り、全てを事業者側だけで把握することは困難。開業に関連する法令でお悩みの方は、障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献