障がい者グループホームの指定申請や融資申請では、収支シミュレーションの実施や収支予算書の提出が必須。しかし、加算の条件が複雑で、具体的にはどのように計算すればよいか分かりにくいという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、障がい者グループホームの収支について、シミュレーションで考慮したい報酬額の変動因子や、予算書の立て方を紹介します。
障がい者グループホームの「収支シミュレーション」報酬額の変動因子
障がい者グループホームの収支シミュレーションは、「世話人の配置人数」と「利用者の障がい支援区分」によって変動してきます。
世話人の配置人数
例えば、介護サービス包括型や外部サービス利用型の場合、世話人の配置人数は「利用者:世話人=4:1、5:1、6:1」。つまり、4:1であれば、「利用者4人を1人の世話人で対応する」ということです。
この配置人数によって、共同生活援助サービス費の単位数が変わってきます。
利用者の障がい支援区分
例えば、世話人の配置人数が4:1の場合、共同生活援助サービス費(4:1)が適用となります。このとき、利用者の障がい支援区分によっても、単位数が異なってくるため注意が必要です。具体的には、区分4が「471単位」、区分3が「381単位」、区分2が「292単位」となります。
収支シミュレーション(区分3の利用者が6名の場合)
では、実際に計算してみましょう。「介護サービス包括型の障害者グループホームで障害支援区分3の利用者が6名、世話人配置6:1、夜間支援体制Ⅰ」の場合、次のようなシミュレーションになります。
計算式:区分単位×地域単価(10円)×日数(30日)×人数
①世話人配置 基本報酬(共同生活援助サービス費①)
298単位×6名×10円=17,880円
②夜間支援体制Ⅰ
187単位×6名×10円=11,220円
月の推定売上は
(①+②)×30日=873,000円
つまり、給付費からの収入は月87万円ほど。ここに利用者から支払われる家賃が加わったり、人件費や固定費といった支出が加味され、最終的な収益が算出されます。
障がい者グループホームの「収支予算書」立て方のコツ
障がい者グループホームをはじめとした障がい福祉サービスでは、給付費の入金が2か月遅れとなっています。そのため、入金されない2か月の間も余裕を持った資金繰りができるよう、数か月分の運転資金も予算に組んでおくことが大切です。
また、収入・支出ともに計算もれがないように注意しましょう。収入であれば各給付費や家賃、支出であれば人件費(サビ管、生活支援員、世話人など)・固定費(水道光熱費、食材料費、日用品など)をしっかり盛り込んで計算するようにしてください。
まとめ
障がい者グループホームの収支シミュレーションは、開業後の資金繰りに大きく影響します。収支シミュレーションや収支予算書でお悩みの方は、障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献