年々急増している障がい者グループホーム。一方で、廃業に追い込まれている事業所も少なくありません。なんとか経営を続けている事業所であっても、「明日は我が身かも」と不安になるのではないでしょうか。
そこで今回は、障がい者グループホームの廃業について、その数の推移や理由を紹介します。
障がい者グループホームの廃業数の推移
障がい福祉サービス事業の廃業・倒産件数は、2000年から2006年までの間は0件。しかし、2013年以降徐々に増加していき、2019年には年間30件が廃業・倒産しています。
2020年は20件と、新型コロナ支援効果で抑制されていますが、20年前の廃業数にくらべるとやはり多いと言わざるを得ません。
地区別では、近畿が6件(構成比30.0%)で最多。次いで、九州4件(同20.0%)、東北と関東、中部が各3件(同15.0%)、中国1件(同5.0%)の順となっています。
実は、障がい者グループホームの倒産数は、明確に公表されていません。しかし、2020年に倒産した20件すべてが「従業員10名未満の零細規模」…つまり、障がい者グループホームや重度訪問介護などの小規模事業所であると推測できます。
障がい者グループホームの廃業理由
障がい者グループホームの廃業理由としては、大きく分けると次の2つです。
放漫経営による事業失敗
残念ながら、「障がい者グループホームは儲かると聞いて…」と安易な気持ちで参入する事業者も少なくありません。そのような事業者の場合、事業計画が甘く、なおかつ放漫経営のために収益の回収が難しいことから、廃業に追い込まれる例も多いようです。
悪質な運営状況の摘発
廃業となった障がい者グループホームの中には、「賃金を支払わずに書類送検された事業者」「障害者雇用を装い、給付金を不正受給した事業者」といった悪質な例も。バレないと思って悪事に手を染めるのかもしれませんが、明るみに出るのは時間の問題です。
まとめ
障がい者グループホームは年々増加傾向ですが、同時に経営の甘さなどから廃業に追い込まれる事業所も後を絶ちません。経営についてお悩みの方は、障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献
2020年「障害者福祉事業」倒産と休廃業・解散調査|東京商工リサーチ