共同生活援助は、障がい者が地域の中で共同生活を営むのを支援するサービスであり、障がい者グループホームとも呼ばれます。介護サービス包括型を中心として需要が高いサービスである一方で、不正などにより指定取り消しとなる事業所も少なからずあるのも実情です。
そこで今回は共同生活援助における指定取り消しの状況や適用となる主な理由のほか、具体的なケースを紹介します。
共同生活援助における指定取り消し等の状況
厚生労働省によると、令和元年度には144の事業所が指定の取り消しや効力の停止処分となりました。このうち、共同生活援助は4か所が指定取り消し、2か所が効力の停止処分となっています。
全体から見ると比較的少ない数字ではあるものの、ゼロではないという点では運営に対する注意はより一層払うべきといえるでしょう。
共同生活援助の指定が取り消しとなる主な理由
共同生活援助の指定が取り消しとなる主な理由は、以下のとおりです。
- 運営基準違反
- 不正の手段による指定
- 訓練等給付費の請求に関する不正
- 障がい福祉サービスに関する不正または著しく不当な行為 など
とくに多いのが、「運営基準違反」や「請求に関する不正」となっています。
共同生活援助で指定取り消しとなった具体例
共同生活援助で指定取り消しとなった具体例について、大阪府の事業所を例に見ていきましょう。
例 | |
運営基準違反 | ・世話人は委託契約を締結しており、当該事業所の従業者を配置していなかった
・生活支援員の委託契約に関して、文書による必要事項の取り決めなど外部委託に必須の要件を満たしていなかった |
訓練等給付費の請求に関する不正 | ・世話人の配置が人員配置基準を満たしていないにもかかわらず、人員欠如減算を適用していなかった
・医療連携体制加算の算定において、委託契約に基づかない看護師の訪問、医師の指示を受けない健康管理など、算定要件を満たしていないにもかかわらず請求していた |
共同生活援助は基本的に、24時間365日体制で支援にあたる障がい福祉サービスです。その分、人員の確保が課題となりやすい傾向にあります。
日頃から余裕のある人員体制を構築するとともに、人件費がかかりすぎないよう常勤と非常勤をうまく組み合わせるなど、相応の工夫が必要です。指定取り消しを避けるためにも、共同生活援助に精通した税理士や行政書士へ日頃から相談し、適正な運営を心がけましょう。
まとめ
共同生活援助で指定取り消しとなる主な理由としては、運営基準違反や不正請求などが挙げられます。開業や経営でお悩みの方は、共同生活援助に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献