共同生活援助とは、必要な介護や支援を受けながら地域生活を続けられる障がい福祉サービスです。「障がい者グループホーム」とも呼ばれ、利用者数や事業所数は右肩上がりの状況が続いています。
令和6年度の報酬改定では、さらなる支援の拡充に向けて、報酬体系の見直しや加算の新設などが行われました。そこで今回は共同生活援助をピックアップし、報酬改定で変更された内容を紹介します。
共同生活援助の報酬改定で見直された内容
共同生活援助の報酬改定で見直された内容は、大きく分けると以下の3つです。
※福祉・介護職員等処遇改善加算など、サービス間で共通する見直し事項は省略しております
一人暮らしなどに向けた支援の評価
一人暮らしなどに向けた支援や居住支援法人との連携などを評価するために、加算の拡充や新設が行われました。
自立生活支援加算は単一の報酬区分から、Ⅰ〜Ⅲの3区分に分けられました。報酬単価も500単位から、40単位〜1,000単位と幅広くなっています。また、下表に挙げる2つの加算が新設されています。
算定要件の概要 | 報酬単価 | |
退居後共同生活援助サービス費
退居後外部サービス利用型共同生活援助サ ービス費 |
自立生活支援加算(Ⅰ)または(Ⅲ)を算定していた利用者で、退去後に居宅訪問や個別支援計画などを行う | 2,000単位/月 |
ピアサポート実施加算
退居後ピアサポート実施加算 |
障がい者ピアサポート研修修了者が、所定の条件を満たす利用者に相談援助を行う | 100単位/月 |
基本報酬区分の見直し
従来は世話人の配置基準に応じた報酬区分でしたが、経営実態などを踏まえ、サービス提供時間に応じた報酬体系へ変更されました。たとえば、介護サービス包括型では、下表のように報酬区分が変っています。
報酬区分 | 世話人の配置 | |
見直し前 | (Ⅰ)~(Ⅳ)※ | 4:1~6:1 |
見直し後 | (Ⅰ)と(Ⅱ)※ | 6:1 |
※見直し前の(Ⅳ)、見直し後の(Ⅱ)は体験利用時の報酬区分
上記にともない、人員配置体制加算が新設され、より実情に即して適切な評価となるよう見直されています。
加算の新設
前述以外にも外部の目を入れて支援の質を向上させるために、地域との連携を評価する加算が新設されました。
- 地域連携推進会議を開催する(おおむね1年に1回以上)
- 会議の構成員による事業所の見学機会を設ける(おおむね1年に1回以上)
- 会議の報告や助言などの記録を作成し、公表する
なお、地域連携推進会議の構成員は、以下のとおりです。
- 利用者やその家族
- 地域住民の代表者
- 共同生活援助に関する知見を有する者
- 市町村の担当者 など
上記は令和6年度から努力義務化、令和7年度から義務化となるため、早急な対応が必要となります。
まとめ
共同生活援助の報酬改定では基本報酬から加算まで、多方面にわたる見直しがなされました。加算の算定や経営でお悩みの方は、共同生活援助に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献