居宅介護は原則、利用者に対してサービスを提供するものと定められています。しかし、例外として本人以外にもサービスを提供できる支援があります。それが、家事援助の中で行える「育児支援」です。
そこで今回は居宅介護で可能な育児支援について、利用できる条件やサービス内容などを紹介します。
居宅介護で可能な育児支援とは?
居宅介護で可能な育児支援の利用条件やサービス内容は、それぞれ以下のとおりです。
利用できる条件
育児支援を利用できるのは、以下すべてを満たす場合です。
- 親である利用者が、障がいによって家事や付き添いが難しい
- 親である利用者の子どもが、1人では対応できない
- ほかの家族などによる支援を受けられない
実際には利用者や子ども、家族などの状況を個々に勘案し、必要に応じて居宅介護の対象範囲に含まれることとなります。
サービス内容
居宅介護の育児支援で提供できるサービスの例は、以下のとおりです。
- 沐浴や授乳
- 健康状態の把握に対する補助
- 健康な発達を促進する観点からの支援(とくに言語発達)
- 保育所や学校などからの連絡に関する手話代読や助言、連絡援助
- 利用者と子ども、双方の分の掃除や洗濯、調理
- 子どもが通院する際の付き添い
- 子どもが保育所や幼稚園へ通園する際の送迎
- 子どもが親である利用者に代わって行う家事や育児への支援
対応可能な範囲について不明な点がある場合は、管轄の障がい福祉課などへ相談するとよいでしょう。
障がい者による育児の現状
実際に、居宅介護の育児支援を必要とする方はいるのか、障がい者による育児の現状を見ていきましょう。
子どもの有無
障がい者総合研究所のアンケート調査によると、子どもがいる障がい者は約3割にとどまっています。
一方で、子どもがいない夫婦でも、子どもを授かりたいと思う方の割合は半数近くとなっています。しかし、障がいがハードルとなると考える方は、約7割にのぼっているのが現状です。
育児支援が必要な場面
知的障がいのある母親の子育て支援に関する研究調査では、とくに以下の事項に困難さを感じる結果となっています。
- 子どもの安全や健康へ注意する
- 家計をやりくりする
- 子どもを入浴させる
- 子どもの食事を作る など
居宅介護に含まれる育児支援は、上記のような困難さを感じる場面にも手を差し伸べることが可能です。少子化が加速し、子育て支援の充足が叫ばれる昨今、障がいを持つ親への支援も今後ますます重要になっていくでしょう。
まとめ
居宅介護では、家事援助の一環として育児支援も提供できます。サービス選定や開業準備でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献