障がい者グループホーム(共同生活援助)とは、障がい者の共同生活を支援する福祉サービスです。近年は社会福祉法人だけではなく、株式会社や合同会社などさまざまな法人が参入しています。新規開業が相次ぐのは、参入のメリットが大きいためです。
そこで今回は、障がい者グループホーム事業参入のメリットやデメリットを紹介します。実際の参入状況についてもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
障がい者グループホーム事業参入のメリット
収益が安定しやすい
障がい者グループホーム事業は、障がい福祉サービスの中でも収支差率(利益率)が非常によい傾向にあります。
他の障がい福祉サービスでは1%を切ったり、マイナスになったりするケースがあるにもかかわらず、障がい者グループホームは高水準を維持しています。とくに、介護サービス包括型は9.1%と群を抜いて高い状況です(厚生労働省のデータより)。
収支差率 | |
介護サービス包括型 | 9.1% |
日中サービス支援型 | 3.8% |
外部サービス利用型 | 1.1% |
「事業拡大したい」「しかし、失敗して負債を抱えるのは避けたい」という事業者に向いているといえます。
人員を確保しやすい
障がい福祉サービスの開業では、国が定める人員配置基準を満たす必要があります。たとえば、障がい者グループホームに配置が定められている職種は、以下のとおりです。
- 管理者
- サービス管理責任者(サビ管)
- 生活支援員
- 世話人
- 夜間支援従事者
上記のうち、資格要件があるのはサビ管のみであり、看護職員やリハビリ職員といった有資格者も不要です。そのため、人員をスムーズに確保でき、開業しやすい点がメリットの1つとなっています。
障がい者グループホーム事業参入のデメリット
障がい者グループホーム事業参入のデメリットは、主に以下の2つです。
- 経営や運営のノウハウが必須となる
- 従業員のスキルアップ体制を整える必要がある
上記は事業者のみで対応するには、時間的に厳しく、心身の負担も大きくなりかねません。安定経営のためには、障がい者グループホームに精通した税理士などの専門家へ早めに相談し、連携することが大切です。
障がい者グループホーム事業の参入状況
厚生労働省のデータによると、障がい者グループホーム事業の参入状況は下表のようになっています。
介護サービス包括型 | 日中サービス支援型 | 外部サービス利用型 | |
令和2年度 | 8,153か所 | 240か所 | 1,321か所 |
令和3年度 | 9,168か所 | 434か所 | 1,296か所 |
令和4年度 | 10,150か所 | 680か所 | 1,255か所 |
外部サービス利用型は減少傾向ですが、介護サービス包括型と日中サービス支援型は急増中です。今後新たに参入する場合は、他事業所との差別化ポイントを明らかにしたうえで、集客施策を強化する必要があるでしょう。
まとめ
障がい者グループホーム事業は参入メリットが大きい一方で、安定経営のためには相応のノウハウや体制構築が必要になります。開業や経営でお悩みの方は、障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献