新型コロナウイルス感染症の流行は、とくに通所型の生活介護に大きな打撃を与えました。その際、救済措置として設けられたのが生活介護の在宅支援です。
しかし、同感染症は2023年に5類へ移行したため、「今後、在宅支援はできないのか」と不安や疑問を持つ事業者もいるでしょう。そこで今回は生活介護の在宅支援について、現状の実施可否や今後のニーズを紹介します。
生活介護で在宅支援は可能?
生活介護の在宅支援は、一定の要件を満たすことで実施可能です。一定の要件とは、新型コロナウイルス感染症により、通常のサービス提供が困難になった場合を指します。
新型コロナウイルス感染症の流行時は、感染をおそれて通所しない場合も含め、サービス提供ができない場合に代替支援として居宅へ訪問できました。2023年5月の5類移行後は、以下の理由から事業所が休業する場合に限り、在宅支援の提供が可能となっています。
- 近隣の自治体や事業所などで感染者が発生、あるいは感染が拡大している
- 事業所内で感染者が多数発生している
なお、できる限りの在宅支援を提供したと市町村が認めた場合は、通常と同額の基本報酬を算定できます。
生活介護の在宅支援はニーズが高い?
令和6年度の報酬改定に向けた有識者会議では、全国重症心身障がい児(者)を守る会から以下のような意見が聞かれました。
居宅訪問型児童発達支援事業と同様に、生活介護事業所に出向くことのできない医療の重い人工呼吸器ユーザーなどが居宅において支援が受けられる「居宅訪問型生活支援事業」の創設を要望する。 |
引用:厚生労働省|生活介護に係る報酬・基準について≪論点等≫
実際、大津市立やまびこ総合支援センターがモデル事業として訪問型生活介護を始めています。現行の制度では訪問看護やヘルパーが利用できるものの、いずれも医療支援か介護支援が主であり、活動支援につながりにくい現状があるためです。
また、生活訓練にも訪問型がありますが、利用期間が3年と期限があります。障がい児から障がい者へ、途切れのない支援を継続するうえでも、日中活動も視野に入れた生活介護の在宅支援は今後ますますニーズが高まることでしょう。
まとめ
生活介護の在宅支援は一定の条件を満たすと実施でき、取り組みが市町村から認められれば通常と同額の報酬を得られます。経営や運営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献
厚生労働省|新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱い」等について