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生活介護の収益源には、基本報酬や各種加算があります。一方で、適切な運営がなされない場合は減算の適用で収入減となり、経営悪化につながるケースも少なくありません。

そこで今回は定員超過減算をピックアップし、適用条件や減額シミュレーションを紹介します。

生活介護の定員超過減算とは?

定員超過減算の適用条件と減算率は、それぞれ以下のとおりです。

適用条件

利用者数が利用定員を超える場合

具体的には、「1日あたり」と「過去3か月間」の利用実績から判断されます。生活介護をはじめとした障がい福祉サービス事業での適用条件は、下表のとおりです。

 

【1日あたりの利用実績】

利用定員50人以下の場合 利用者数>利用定員×150%
利用定員51人以上の場合 利用者数>(利用定員−50)×125%+75

 

【過去3か月間の利用実績】

利用定員11人以下の場合 過去3か月の延べ利用者数>

(利用定員+3)×過去3か月間の開所日数

利用定員12人以上の場合 過去3か月の延べ利用者数>

利用定員×過去3か月間の開所日数×125%

 

たとえば、定員20人の生活介護事業所であれば、下記の計算式より1日あたりでは30人、過去3か月間では1,800人を超えると定員超過減算の対象となります。

 

【1日あたりの利用実績】

利用定員×150%

=20人×1.5

=30人

 

【過去3か月間の利用実績】開所日数が24日/月の場合

利用定員×過去3か月間の開所日数×125%

=20人×24日×3か月×1.25

=1,800人

 

なお、多機能型事業所の場合は、サービスごとに利用者数を算出する必要があります。

減算率

定員超過した場合は基本報酬が30%減算となり、報酬額は通常の70%です。利用者全員分が減算対象となりますが、適用期間は下表のように異なります。

 

利用者 減算期間
1日あたりの利用実績 全員 当該1日
過去3か月間の利用実績 当該1か月間

 

たとえば、前述の生活介護事業所で、とある1日の利用者数が33人になった場合の報酬額を計算してみましょう。

計算しやすいように利用者全員の障がい支援区分を4とすると、基本報酬は669単位です。そのため、減算が適用された場合の報酬額は下記のとおりとなります。

 

報酬単価×地域区分(10円)×人数×減算率

=669単位×10円×33人×0.7

=154,539円

 

ちなみに、利用定員どおり20人が利用した場合の報酬額は下記のとおりです。

 

報酬単価×地域区分(10円)×人数

=669単位×10円×33人

=133,800円

 

一見すると定員超過したほうが収益アップしているように見えますが、その分職員の負担が大きくなり、支援が行き届きません。利用者満足度の低下、ひいては利用率の減少による経営悪化にもつながりかねないため、適切な運営を心がけましょう。

 

 

まとめ

定員超過減算は、ニーズが高く利用者数が急増している生活介護だからこそ注意すべき減算の1つといえます。経営や運営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。

 

参考文献

厚生労働省|生活介護に係る報酬・基準について≪論点等≫

厚生労働省|自己点検チェックのための生活介護事業ガイドライン案

厚生労働省|令和3年度障がい福祉サービス等報酬改定について

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