生活介護と障がい者グループホーム(共同生活援助)は、多機能型事業所として併設されやすい傾向にあります。
しかし、これから開業する方からすると「何が違うのか」「併用はできるのか」といった疑問があるでしょう。そこで今回は、2つの違いや併用可否について紹介します。
生活介護と障がい者グループホームの違い
2つの違いについて、以下の5つの観点から見ていきましょう。
サービス内容
生活介護は利用者に対し、介護はもちろん、創作活動や生産活動などの機会を提供します。サービスを提供する時間帯は、日中に限定されます。
一方、障がい者グループホームは夜間や休日に共同生活する住居を指し、食事や入浴など日常生活上の援助を行うサービスです。
サービス内容の方向性が異なることから、体系上も「生活介護は介護給付」「障がい者グループホームは訓練等給付」と分かれています。
対象者
対象者の要件は、サービスによって異なります。
生活介護 | 障がい者グループホーム | |
障がい支援区分 | 区分2以上※1 | — |
年齢 | — | 65歳未満※2 |
※1:年齢や施設入所支援の併用有無によって異なる
※2:65歳になる前に利用していた場合は、継続利用できるケースもある
人員配置
それぞれに必要な職種は、下表のとおりです。
生活介護 | 障がい者グループホーム |
・管理者
・サービス管理責任者 ・医師 ・看護職員 ・理学療法士または作業療法士 ・生活支援員 |
・管理者
・サービス管理責任者 ・生活支援員 ・世話人 ・夜間支援従事者 |
重複する職種が複数あるため、生活介護と障がい者グループホームを併設した多機能型事業所も多くなっています。
利用者数・事業所数
令和4年度における、ひと月あたりの平均は下表のとおりです。
事業所数 | 利用者数 | ||
生活介護 | 12,279か所 | 298,891人 | |
障がい者グループホーム | 介護サービス包括型 | 10,150か所 | 140,030人 |
外部サービス利用型 | 1,255か所 | 15,069人 | |
日中サービス支援型 | 680か所 | 9,527人 |
障がい者グループホームの外部サービス利用型以外は、いずれも増加傾向となっています。
収支差率(利益率)
収支差率の推移は、下表のとおりです。
令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | ||
生活介護 | 8.2% | 8.2% | 8.3% | |
障がい者グループホーム | 介護サービス包括型 | 3.5% | 5.8% | 9.1% |
外部サービス利用型 | 6.7% | 8.0% | 1.1% | |
日中サービス支援型 | 6.5% | 6.9% | 3.8% |
生活介護の収支差率は、高水準で維持しています。一方、障がい者グループホームは参入事業者の急増により、収支差率の増減はともに大きな変動となっています。
生活介護と障がい者グループホームは併用できる?
生活介護と障がい者グループホームは、併用可能です。多機能型として併設されている生活介護へ障がい者グループホームから通う、あるいは他事業所を利用するといったケースもあります。
利用者が併用を希望する場合は、支援の切れ目や相違が発生しないよう、関連機関や各担当者と緊密に連携していきましょう。
まとめ
生活介護と障がい者グループホームは一見すると似ているものの、さまざまな点で違いがあります。開業や運営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献