障がい者グループホームで活用する居住用として、また重度訪問介護や居宅介護の事務所として物件を借りるケースがあります。
すでに借りている事業者はもちろん、これから開業するにあたって賃貸を考えている方も「インボイス制度の影響はあるのか」と疑問に思う方も多いでしょう。そこで今回はインボイス制度と家賃について、その影響や対応の要否を紹介します。
インボイス制度と家賃①障がい福祉サービスへの影響
障害者グループホームなど、居住用の物件として借りている場合の家賃は原則非課税(※)です。インボイス制度の影響もありません。
※貸付期間が1か月未満を除く
一方、訪問系サービスの事務所や就労支援の物販に使う店舗などの家賃には、消費税が課されます。インボイス制度の対象となりますが、貸主の登録状況によって借主の対応は変わります。
インボイス制度と家賃②貸主の登録有無によって変わる対応
事務所や店舗として物件を借りた場合における家賃の対応について、貸主の登録有無別に見ていきましょう。
貸主に登録番号がある場合
貸主にインボイス制度の登録番号がある場合は、以下を保存することで仕入税額控除を受けられます。
- 登録番号が記載された賃貸借契約書
- 取引の年月日を示す書類
- (口座振込の場合)振込金受取書
- (口座振替の場合)通帳
支払方法によって保存書類が変わるため、混同しないように注意しましょう。
貸主に登録番号がない場合
貸主がこれからインボイス制度に登録する場合は申請完了後、登録番号や適用税率などを別途通知してもらうことが必要です。通知書は、既存の賃貸借契約書や振込金受取書・通帳などとともに保存します。
ただし、貸主がインボイス制度に登録せず、免税事業者のままでいる場合は対応が分かれます。互いに免税事業者であれば仕入税額控除が不要なため、特別な対応は必要ありません。
一方、サービス提供者側が課税事業者で、物件の貸主が免税事業者の場合は経過措置(※)の適用で税額控除を受ける必要があります。
※2023年10月1日から6年間受けられる(最初の3年は従来の80%、後半3年は50%)
現在の事務所を借り続けるか否か判断に迷う場合は、障がい福祉サービスとインボイス制度の双方に精通した税理士へ相談するとよいでしょう。
まとめ
賃貸物件の家賃は、使用用途や借主・貸主の登録有無によってインボイス制度の適用可否が分かれます。制度の変遷による影響を最小限に抑えたい方は、インボイス制度にも強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献