就労移行支援では生活支援員や就労支援員など、さまざまな職種が協力しながら運営しています。しかし、中には「きつい」と言って退職する職員も少なくありません。運営や経営の安定化には、従業員満足度を上げ離職率を下げる工夫が必要です。
そこで今回は就労移行支援が「きつい」「やめたい」と言われる理由を踏まえ、事業所側ができる対処法について紹介します。
就労移行支援の仕事が「きつい」と言われる3つの理由
就労移行支援の仕事が「きつい」と言われる理由は、主に次の3つになります。
利用者とのコミュニケーションが難しい
就労移行支援の利用者は、身体や精神などに障がいを持った方がほとんどです。自己肯定感の低さから、自分の気持ちや考えをうまく伝えられない方も少なくありません。中には職員側が伝えた内容を曲解し、怒りや悲嘆につながる方もいます。
このような利用者たちとコミュニケーションを取り続けるためには、相応の支援スキルはもちろん、精神的な忍耐力も必要です。身体介護が少ないといった安易な理由から就労移行支援に就職した方は、上記のような事態を受けて「きつい」と感じやすくなります。
板挟みになりやすい
就労移行支援の仕事には次に挙げる3つの立場が関わり、職員はそれぞれの板挟みになりやすい傾向にあります。
- 利用者:希望に合った職場に就職したい
- 企業:なるべく既存従業員の負担にならない方を受け入れたい
- 事業所の経営層:収益を上げるために、より多くの利用者を一般就労させたい
職員としては利用者のニーズに応えたくても、企業側の要求によっては譲歩せざるを得ないときもあるでしょう。また、人手不足にもかかわらず、経営層から利用者増加や就労率アップについてプレッシャーをかけられると、「きつい」と感じやすくなります。
給料が低い
上記2つのような状況があっても、「給料がよければ頑張れる」という方もいます。しかし、生活支援員など直接支援業務にあたる職員の平均年収は、常勤でも約300万円〜330万円です。
日本人の平均年収が約430万円なのを踏まえると、給料が業務負担に見合わず「きつい」「やめたい」と感じてしまう方が出るのも無理はありません。
就労移行支援の「きつい」から抜け出すためには
就労移行支援の「きつい」状況から脱却するためには、次のような工夫が必要です。
- 支援スキルを学べる機会を積極的に提供する(施設内研修や外部研修など)
- 人員は実務の負担を考慮して、やや余裕を持たせた人数を配置する
- 加算を積極的に算定し、職員の給料へ還元する
とくに、余裕のある人員配置は重要です。退職者が相次ぐと新人の採用と教育にコストがかかり、指導者となる職員や業務を肩代わりする職員の負担も大きくなります。すると今度は別の職員が退職するといった、負のループにはまりかねません。
経営や運営を安定化させるためにも、長期的な視点で職員が「きつい」と感じる理由を1つずつ解決していきましょう。
まとめ
「就労移行支援の仕事がきつい」という状態が続くと、離職率が悪化し、経営にも悪影響を与えます。開業や運営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献