就労移行支援と就労定着支援は比較的新しい障がい福祉サービスのため、混同しやすい方も多いでしょう。しかし対象者や支援の目的といった基本方針はもちろん、全国における事業所数の推移なども異なります。
そこで今回は、就労移行支援と就労定着支援の違いについて紹介します。
就労移行支援と就労定着支援の違い①基本方針
就労移行支援とは、一般就労できるよう障がい者などを支援する障がい福祉サービスです。また、就労定着支援は一般就労後に働き続けられるようサポートします。ここではそれぞれの基本方針における違いを見ていきましょう。
支援の目的や対象者
就労移行支援は一般就労を希望する方へ、就労に必要な知識・スキルの修得や職場開拓を支援します。一方、就労定着支援は次のような障がい福祉サービスを経て一般就労し、6か月が経過した方が対象です。
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 生活介護
- 自立訓練
就労定着支援では利用者が職場に馴染み、働き続けられるよう、相談や助言など必要な支援を提供します。
利用期間
就労移行支援を利用できる期間は、原則2年間です。ただし必要性が認められれば、延長や2回目以降の利用も可能となります。
一方、就労定着支援の利用期間は就職6か月後から最大3年間です。なお就職直後から6か月までの間は、就労移行支援の職場定着支援を受けられます。そのため切れ目のない支援を提供できるよう、就労移行支援と就労定着支援は併設しているケースが多くなっています。
基本報酬
就労移行支援と就労定着支援の基本報酬は、それぞれ下表のとおりです。
【就労移行支援】定員20名以下の場合
就職後6か月以上定着率 | 単位数 |
5割以上 | 1.128単位/日 |
4割以上5割未満 | 959単位/日 |
3割以上4割未満 | 820単位/日 |
2割以上3割未満 | 690単位/日 |
1割以上2割未満 | 557単位/日 |
0割以上1割未満 | 507単位/日 |
0 | 468単位/日 |
【就労定着支援】
就労定着率 | 単位数 |
9割5分以上 | 3,449単位/月 |
9割以上9割5分未満 | 3,285単位/月 |
8割以上8割5分未満 | 2,710単位/月 |
7割以上8割未満 | 2,176単位/月 |
5割以上7割未満 | 1,642単位/月 |
3割以上5割未満 | 1,395単位/月 |
3割未満 | 1,046単位/月 |
一見すると就労定着支援の報酬単価が非常に高く見えますが、区分や報酬が発生するタイミングが異なります。就労移行支援は1日あたり、就労定着支援は1月あたりの算出となるため、混同しないよう注意しましょう。
就労移行支援と就労定着支援の違い②全国数
就労移行支援と就労定着支援の事業所数は、下表のように推移しています。
就労移行支援 | 就労定着支援 | |
平成30年度 | 3,503か所 | 308か所 |
令和元年度 | 3,399か所 | 1,251か所 |
令和2年度 | 3,301か所 | 1,421か所 |
就労移行支援は減少傾向、就労定着支援は増加傾向になっています。ただし就労定着支援が利用できるのは、就職後6か月以降です。単独利用では支援の空白期間ができ、利用前に退職してしまう可能性も少なくありません。
切れ目のない支援で確実に就職・職場定着を促すためにも、就労移行支援の重要性は今後も増していくと推測されます。
まとめ
就労移行支援と就労定着支援の違いは、基本方針などさまざまな点にあります。しかし、いずれも利用者からのニーズは高く、今後も需要が見込まれる障がい福祉サービスです。
開業や運営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談することをオススメします。
参考文献