障がい者が就職する際、自身の障がいや疾病について企業側へ公表するのがオープン就労、伏せるのがクローズ就労です。就労移行支援の事業者や職員は、両方のメリット・デメリットをしっかり把握したうえで、利用者の支援にあたる必要があります。
そこで今回はオープン就労とクローズ就労それぞれのメリット・デメリットや、一般就労する際に選ぶべき方法について紹介します。
オープン就労・クローズ就労とは?
オープン就労・クローズ就労のメリット・デメリットは、それぞれ次のとおりです。
オープン就労のメリット・デメリット
オープン就労の主なメリットは、次の4つが挙げられます。
- 通院や服薬について配慮がある
- 勤務形態や業務内容を企業と相談できる
- 支援機関のサポートがあれば企業と調整してもらえる
- 障がいについて知ってもらった上で働ける
障がいについての合理的な配慮が期待できるため、職場に定着しやすいといえるでしょう。一方、オープン就労には次のようなデメリットもあります。
- 求人が少ない
- 職種や業務内容に偏りがある
- 給与が低い
- キャリア形成が難しい
- 障がい者手帳が必要(障がい者枠で就職する場合)
利用者・企業ともに満足度の高い働きができるよう、就労移行支援は利用者のできること・できないことについてきちんと情報提供することが大切です。必要に応じて就労定着支援と協働しながら、働きやすい環境整備も進めるとよいでしょう。
クローズ就労のメリット・デメリット
クローズ就労のメリットは、主に次の3つです。
- 求人が豊富
- 給与が高い
- キャリア形成が可能
一般枠への応募となるため、「稼ぎたい」「将来的にキャリアアップしたい」という方には大きなメリットに見えます。ただし、次のようなデメリットがあるため、職場定着率はあまり高くありません。
- 通院や服薬について配慮されない
- 勤務形態や業務内容について配慮されない
- 障がいが職場に発覚しないか不安が付きまとう
クローズ就労ではセルフコントロールの難易度が上がるうえ、隠し事があるという不安を持ち続けます。このため、職場環境によっては利用者には精神的・身体的負荷が多くかかるといえるでしょう。
就労移行支援から一般企業へ移行するなら?
障がいの程度や本人が重視する点にもよりますが、就労移行支援から一般企業へ移行するならば、一般枠へのオープン就労がおすすめです。就労移行支援から企業へ利用者の特徴やスキルを説明し、環境整備もサポートすれば職場定着率が上がります。
ただし、企業によってはまだまだ障がいへの理解が乏しいのも現実です。その場合は障がい者枠の求人を出しており、雇用実績がある企業を選ぶとよいでしょう。いずれを選択しても就職先の企業へ丸投げせず、就労移行支援側も可能な限りサポートすることが大切です。
まとめ
オープン就労・クローズ就労ともに、さまざまなメリット・デメリットがあります。利用者の意向や状況に寄り添い、地域と連携してサポートを進めていきましょう。
集客や運営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献