就労移行支援では、利用者の現状把握と適切な就労支援を目的としてチェックリストが利用されています。しかし、評価項目が多岐にわたるため、「全体像が把握しにくい」と感じる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は「就労移行支援のためのチェックリスト」について、実施目的や内容、注意点を紹介します。
「就労移行支援のためのチェックリスト」とは?
まずは当チェックリストの作成された背景や目的、評価項目について見ていきましょう。
作成された背景
就労移行支援の提供時に作成される個別支援計画では、利用者の状況を正確に把握するためのアセスメント(評価)が必要です。
しかし、評価基準があいまいだとアセスメントする人によって結果が異なってしまいます。すると、支援の方向性や内容がブレることにもなりかねません。そこで障がい者職業訓練センターが研究成果などを踏まえ、当チェックリストを作成しました。
実施の目的
当チェックリストは事業者が利用者の現状を把握し、支援に反映することを目的として実施します。個別支援計画の作成段階はもちろん、実際の支援を提供するなかで繰り返し評価することで利用者の変化が把握できます。
評価項目
チェックリストの構成は大きく分けると、「必須チェック項目」と「参考チェック項目」の2つです。「必須チェック項目」は3分野34項目、「参考チェック項目」は9項目からなり自由記載の「その他」も追加できます。各評価項目は、下表のとおりです。
必須項目 | 日常生活 | ・起床
・生活リズム ・食事 ・服薬管理 ・外来通院 など |
働く場での対人関係 | ・あいさつ
・会話 ・言葉遣い ・非言語的コミュニケーション ・協調性 など |
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働く場での行動態度 | ・一般就労への意欲
・作業意欲 ・就労能力の自覚 ・働く場のルールの理解 ・仕事の報告 など |
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参考項目 | ・仕事の自発性
・仕事の準備と後片付け ・巧緻性 ・労働福祉的知識 ・家族の理解 など |
支援すべき項目を可視化し、利用者のどこに課題があるか目星を付けていきましょう。
「就労移行支援のためのチェックリスト」を利用する際の注意点
当チェックリストの記載や活用にあたっては、次のような点に注意が必要です。
- 利用者の作業場面や休憩時間の様子に基づいてチェックする
- チェックを済ませたら利用者と話し合い、理解を得る
- 該当する答えがない・補足がある際は自由記述欄に記載する
- 利用者の変化を継続観察する際は、できるだけ同一人がチェックする
- 各関係機関へチェックリストの情報を提供する際は、本人や保護者の同意を得る
- 利用者の障がい状況や作業能力などを含めて総合的に評価する
チェックリストを有効活用し、利用者と共通認識を持ちながら就労支援を進めていきましょう。
まとめ
「就労移行支援のためのチェックリスト」は、利用者の現状把握と課題改善を目的としたものです。運営や経営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献