就労移行支援と就労継続支援は名称が似ているために、混同しやすい方も多いでしょう。しかし、支援の目的や対象者をはじめ、利用期間や基本報酬など細かい部分で違いがあります。
そこで今回は就労移行支援と就労継続支援の違いについて、基本方針と全国数に大別しながら紹介します。
就労移行支援と就労継続支援の違い①基本方針
就労移行支援と就労継続支援B型の基本方針は、主に次のような項目で違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
支援の目的や対象者
就労移行支援は原則として、65歳未満の障がい者が一般企業へ就労できるように支援する障がい福祉サービスです。
一方、就労継続支援はA型とB型があります。どちらも一般企業への就職が難しいものの、働く意欲がある障がい者を支援する障がい福祉サービスです。就労継続支援の年齢制限はA型が就労移行支援と同じ条件であり、B型はとくにありません。
利用期間
就労移行支援の利用期間は、原則2年です。一方、就労継続支援はA型・B型ともに利用期間の定めはありません。
基本報酬
定員20人以下とした場合の基本報酬は、それぞれ次のとおりです。
- 就労移行支援:468〜1,128単位/日
- 就労継続支援A型:319~724単位/日(人員配置7.5:1)
- 就労継続支援B型:566~702単位/日(人員配置7.5:1)または556単位※
※一律に評価する報酬体系を適用する場合
就労系サービスの中でも、就労移行支援は報酬単価が比較的高いといえます。
就労移行支援と就労継続支援の違い②全国数
就労移行支援と就労継続支援の違いは、全国の事業所数や利用者数にもあります。それぞれの推移は、下表のとおりです。
【事業所数】
平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | |
就労移行支援 | 3,421か所 | 3,287か所 | 3,090か所 |
就労継続支援A型 | 3,767か所 | 3,826か所 | 3,842か所 |
就労継続支援B型 | 11,601か所 | 12,423か所 | 13,117か所 |
【利用者数】
平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | |
就労移行支援 | 33,780人 | 33,560人 | 33,548人 |
就労継続支援A型 | 69,037人 | 70,015人 | 72,197人 |
就労継続支援B型 | 239,635人 | 255,574人 | 269,339人 |
この表から、就労移行支援の事業所や利用者は就労継続支援よりも増加がゆるやかであることがわかります。とはいえ、障がい者の一般就労に向けてはさまざまな配慮が必要であり、就労移行支援が重要な点は変わりありません。
これから就労移行支援を開業する場合は他事業所との差別化を図りつつ、就労継続支援と連携し利用者を確保するとよいでしょう。
まとめ
就労移行支援と就労継続支援は、細かく比較すると違いのある部分が多くあります。開業する事業の選定や準備でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献