児童発達支援は需要が増加傾向にある障がい福祉サービスであり、経営戦略をきちんと立てれば安定的な収入が期待できます。そのような児童発達支援の開業では、法人格の設立が必要です。
法人格はさまざまありますが、このうちNPO法人は児童発達支援(重症心身障がい児を除く)を行っている事業所では3番目に多い法人です(令和3年度の実態調査より)。
そこで今回は、児童発達支援の開業でNPO法人を選ぶメリット・デメリットや、設立の流れを紹介します。
児童発達支援でNPO法人を設立するメリット・デメリット
児童発達支援でNPO法人を設立するメリット・デメリットは、それぞれ次のとおりです。
メリット
NPO法人のメリットは、主に次の3つがあります。
- 資本金ゼロで設立できる
- 税制での優遇がある
- 社会的信用がある
NPO法人は設立時に資本金や登記費用がいらないほか、特定非営利活動に関連する法人税が原則非課税になる、など金銭面でのメリットがあります。また、活動内容などは知事をはじめとした公人が認証するプロセスが必要なため、社会的信用が高い点もメリットです。
デメリット
NPO法人のデメリットは、主に次の3つです。
- 設立まで時間がかかる
- 社員が10名以上必要である
- 年1回は行政に報告書類を提出しなければならない
NPO法人の設立では、認証の申請から登記まで3か月程かかります。また、NPO法人の活動は常に10名以上の社員(議決権を持った会員)のほか、3名以上の理事や1名以上の監事も必要です。
条件によっては理事と監事は社員が兼任できますが、人員の確保はNPO法人の設立でクリアすべき大きな壁といえるでしょう。
児童発達支援の開業でNPO法人を設立する流れ
実際にNPO法人を設立する場合の流れを詳しくみていきましょう。
①活動賛同者を集める
児童発達支援の活動に賛同する人を、社員として10名以上集める必要があります。10名未満では活動が認められません。
②社員全員で活動内容を承認
事業内容や計画を作成し、設立総会などで社員全員の承認を取ります。
③設立認証の申請を行う(都道府県、市町村)
設立総会の議事録や事業内容など認証に必要な書類をそろえ、所轄庁に認証を申請します。所轄庁は活動を行う都道府県(活動を行う場所が政令指定都市の場合は市)です。
所轄庁は申請内容の一部を2週間公開し、その後2か月以内に認証か不認証かを書類で通知します。
④法人登記を行う
申請が通ったら2週間以内に認定の書類などを持って法務局に法人の登記を行いましょう。6か月以上放置しておくと認証が取り消されるケースがあります。
⑤法人設立届出をする
登記が完了したら設立登記完了届などを所轄庁に提出し、NPO法人設立の手続きは完了です。
まとめ
児童発達支援の開業でNPO法人を選ぶメリットは、金銭面や信用面にあります。すでに児童発達支援のボランティア活動をしていて仲間がたくさんいる、人脈が広いといった方はNPO法人の設立がおすすめです。
開業準備や指定申請でお悩みの方は、児童発達支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献
障害児通所支援における移行・併行通園の状況等に関する調査(令和3年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査結果)|厚生労働省