児童発達支援の事業所を開業する際は用途変更のほか、さまざまなチェック項目をクリアすることが必要です。しかし、法令は文言の表現が難解なため、「結局のところ、どのような対応をすればよいのか」と悩む開業者も多いでしょう。
そこで今回は、児童発達支援に関わる建築基準法の用途変更や、その他チェック項目について紹介します。
児童発達支援の建築基準法①用途変更
児童発達支援の開業では、物件の床面積によって用途変更が必要になります。詳細な条件は、次のとおりです。
床面積が200㎡超の場合
物件の床面積が200㎡を超える場合は、建築基準法上の「用途変更の確認申請(用途変更手続き)」が必要です。
用途変更の確認申請は建築工事を着手する前に、特定行政庁(市町村)または指定確認検査機関に提出します。用途変更の確認申請には、建築士の協力が必要です。手続きや書類の準備は煩雑なため、あらかじめ専門家に相談するとスムーズに進められるでしょう。
床面積が200㎡以下の場合
物件の床面積が200㎡以下の場合、用途変更は不要です。ただし、建築基準法に適合した物件であることの証明は必要です。そのため、法令適合を証明するために「確認済証」と「検査済証」の写しの提出を求められます。
確認済証や検査済証について不安や疑問がある場合も、あらかじめ行政の建築課や専門家などへ相談しておくと安心でしょう。
児童発達支援の建築基準法②その他チェック項目
児童発達支援の建物は、障がい児の安全や健康を確保するために、一般的な事業所よりも厳しい防火・避難関係規定が適用されます。たとえば、次のような規定があります。
- 建物は耐火建築物(木造建築物は不可)
- 建物への自動火災報知設備や避難誘導灯などの消防用設備の設置
- 防火管理者の設置(収容人員30人以上の場合)
- 出入口は最低2箇所以上、通路の幅は最低1.2m以上
- 採光・換気・排煙の基準クリア など
また、既存の建物を用途変更して児童発達支援とする場合には、新たな用途に適合するかを示す建築確認申請が必要です。たとえば、既存の建物が次のような場合には建築確認申請が必要になります。
- 完了検査を受けていない
- 耐火建築物などではない
- 消防用設備を備えていない
- 床面積基準(障がい児1人あたり3㎡以上など)を満たしていない
利用者の安全を確保できるよう、開業前の物件選びや確認は慎重に進めましょう。
まとめ
児童発達支援の事業所を開業する際は、建築基準法に記載された条件を満たした物件の準備が必要です。とはいえ、条件クリアの可否や手続きなどは専門家なしで進めるには非常に労力がかかります。
開業準備や物件についてお悩みの方は、児童発達支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献