児童発達支援は福祉サービスとはいえ、事業継続のためにはある程度の収益が必要です。しかし、少子化が急速に進む社会情勢を見ていると、「儲かるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで今回は児童発達支援は儲かるのか、経営状況や赤字事業所の割合を紹介します。黒字化する方法もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
児童発達支援は儲かる?経営状況を比較
まずは、児童発達支援は儲かるのか、近年の収支差率や赤字率を見ていきましょう。
収支差率(利益率)
平成29年度から令和元年度における収支差率などの推移は、下表のとおりです(厚生労働省の調査より)。
経営概況調査 | 経営実態調査 | ||
平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | |
収入 | 36,683 | 32,866 | 35,884 |
支出 | 35,959 | 32,529 | 35,440 |
収支差 | 724 | 337 | 444 |
収支差率(利益率) | 2.0% | 1.0% | 1.2% |
(単位:千)
収支差率は平成30年に一度減少したものの、令和元年度に持ち直していることがわかります。次に同じ障がい児通所サービスである、医療型児童発達支援や放課後等デイサービス(放デイ)と収支差率を比較してみましょう。
経営概況調査 | 経営実態調査 | ||
平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | |
児童発達支援 | 2.0% | 1.0% | 1.2% |
医療型児童発達支援 | -1.8% | 1.1% | 1.3% |
放デイ | 9.1% | 11.0% | 10.7% |
この表を見ると、放デイが群を抜いて収支差率がよく、児童発達支援と医療型児童発達支援は同程度であることがわかります。児童発達支援を開業する場合は、高い収支差率が見込まれる放デイとの併設も検討するとよいでしょう。
赤字の事業所
令和元年度と令和2年度において、赤字の状態である児童発達支援センター・事業所の割合は下表のとおりです(WAMの調査より)。
令和元年度 | 令和2年度 | |
児童発達支援センター | 28.8% | 26.9% |
児童発達支援事業所 | 28.3% | 25.0% |
いずれも令和2年度にかけて、赤字の事業所割合が減少しています。同調査では赤字の事業所割合が減少した要因として、センターは利用率の上昇、事業所は利用児童単価の上昇を挙げています。
児童発達支援で儲かる・黒字化する方法
児童発達支援で儲かるためには、次のような工夫が必要です。
- 支援の質を上げて、利用者を増やす
- 過不足なく人員を配置し、人件費を抑える
- 加算を算定し、原資を確保する
ただし、上記は事業者の知識だけでは対応に限界があるケースが少なくありません。経営を安定化・黒字化するためには児童発達支援に精通した専門税理士と顧問契約し、人員も配置方法や加算の算定などについてサポートを受けるのも1つの方法です。
まとめ
児童発達支援の収支差率はやや低く、赤字施設は3割近い状況です。しかし、情勢に応じてきちんと経営戦略を立てながら運営することで、黒字化の余地は十分あります。経営や運営でお悩みの方は、児童発達支援に強い「日本で唯一の障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献