昨今起きた新型コロナウイルス感染症の蔓延は、多方面で事業継続の困難さを突きつけました。児童発達支援のような障がい福祉サービスも、その1つです。このような事態を受けて、厚生労働省は令和2年以降、代替サービスの提供を容認する通達を出しました。
そこで今回は児童発達支援で提供できる代替サービスの内容や、基本報酬・加算の取扱いについて紹介します。
児童発達支援の代替サービスとは?
児童発達支援で提供できる代替サービスとは、電話などを利用して支援を継続することです。提供にあたっては、保護者からあらかじめ同意を得る必要があります。ここでは具体的な支援内容や手段について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
支援内容
代替サービスで提供できる支援内容は、主に次の4つです。
- 利用者の健康状態の確認、助言
- 自宅での生活状況についての確認、助言
- 利用者や家族とのコミュニケーション
- 通所再開に向けた準備 など
代替サービスの提供は次のような項目について記録に残し、行政庁から要請があった際には提示できるようにしておく必要があります。
- 利用者名
- 支援を提供した日時
- 支援方法や内容
- 代替サービスを提供した理由 など
なお、次のような状況では代替サービスに該当しないため注意しましょう。
- 単なる欠席連絡
- 単なるリモート支援の希望
支援手段
代替サービスの手段として容認されているのは、電話や訪問などです。ただし、保護者が電話に出られない状況であれば、メールやLINEも利用可能となっています(日中、子どもを祖父母へ預けているなど)。
児童発達支援の代替サービスにおける基本報酬などの取扱い
代替サービスを提供した際には、基本報酬や加算、減算の取扱いが通常と異なるケースがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
基本報酬・加算
基本報酬や次に挙げる加算は、代替サービスのときも通常どおり算定可能です。
- 事業所内相談支援加算
- 家庭連携加算
- 特別支援加算
- 医療連携体制加算
- 保育・教育等移行支援加算
- 強度行動障がい児支援加算
- 人工内耳装用児支援加算
- 栄養士配置加算 など
ただし、加算によっては代替サービス提供時の算定可否について条件が複雑な場合もあるため、あらかじめ管轄の行政庁へ確認しておくと安心でしょう。
また、職員の欠員などで算定要件を満たさない場合でも、利用者への支援に配慮した上で算定可能な加算があります。具体的には、次の4つです。
- 児童指導員等加配加算
- 看護職員加配加算
- 専門的支援加算
- 福祉専門職員配置等加算
なお、次に挙げる加算は特例的な取り扱いがないため、混同しないように注意しましょう。
- 食事提供加算
- 利用者負担上限管理加算
- 欠席時対応加算
- 送迎加算
減算
次に挙げる3つの減算は、令和2年2月以降に新たに発生した場合にのみ適用されません。
- 個別支援計画未作成減算
- 開所時間減算
- 自己評価結果等未公表減算
※身体拘束廃止未実施減算は特例なし
定員超過減算も適用されませんが、利用者の衛生面・安全面が確保されるような工夫は必要です。地域の事業所で分散利用し、定員超過を回避する方法もあるため、自治体の福祉課と相談しながら事業継続を図っていきましょう。
まとめ
児童発達支援では昨今の情勢を受けて、代替サービスの提供が可能となっています。代替サービス提供時の加算算定や事業継続についてお悩みの方は、児童発達支援に強い「日本で唯一の障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献
新型コロナウイルス感染症防止のための障害児通所支援に係るQ&Aについて |厚生労働省