児童発達支援の利用者の中には、複数の事業所へ通所する児童もいます。その場合、必要になってくるのが利用料の上限管理です。事業所数や利用者が増えており、今後ますます複数事業所の併用利用が予測されます。
そこで今回は児童発達支援の上限管理について、担当する事業所の条件や請求の流れなどを紹介します。
児童発達支援の上限管理とは?
上限管理とは児童発達支援の利用料が利用者負担額を超える場合に、請求額を調整する事務作業です。
上限管理事業所の条件
上限管理事業所は、児童が毎月利用している事業所が担当します。毎月の利用がない場合は、利用頻度がもっとも多いところが上限管理事業所です。
原則、月末の時点で条件に該当する事業所が上限管理を行います。しかし、利用者が月の後半に退所したなど状況によっては、月末の当該事業所がスムーズな上限管理が難しいケースがあります。その場合は、月末以前に該当する事業所によって対応することも可能です。
上限管理や請求の流れ
上限管理と国保連への請求は、下表のように進めます。
期限 |
上限管理事業所以外の場合 | 上限管理事業所の場合 | |
当月 | 末日 | サービス提供実績記録票の確認 | |
翌月 | 3日 | ・利用者負担額一覧表の作成
・上限管理事業所へ提出 |
→受け取り |
6日 | 受け取り← | ・利用者負担上限額管理結果票の作成
・他事業所へ提出 |
|
10日 | 国保連へ請求データを送信 | ||
翌々月 | 中旬 | ・報酬の入金
・代理受領通知書を発行後、保護者へ |
国保連からの入金が遅れないよう、上限管理事業所はもちろん他の事業所もそれぞれ作成する書類を期日までにきちんと仕上げて提出することが大切です。
上限管理の例
利用者負担額の上限は、下表のように定められています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 | |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 | |
一般1 | 市町村民税課税世帯
(所得割28万円未満)※ |
通所施設
ホームヘルプ利用の場合 |
4,600円 |
入所施設利用の場合 | 9,300円 | ||
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※収入がおおむね890万円以下の世帯
上記の金額を超える場合、上限管理が必要です。具体的には、次に挙げる2つのパターンがあります。
- 管理事業所の利用料が利用者負担額を超える
- 利用料の合算額が利用者負担額を超える
利用料の合算額が利用者負担額以下であれば、上限管理は不要になります。たとえば、利用者負担額が4,600円で1.の場合、次のような調整が必要です。
- 管理事業所の利用料:5,000円→4,600円
- 他事業所の利用料:3,000円→0円
また2.の場合の調整は、次のようになります。
- 管理事業所の利用料:3,000円→3,000円
- 他事業所の利用料:2,000円→1,600円(4,600円-3,000円)
児童発達支援の利用者負担上限管理加算とは?
上限管理をした場合、150単位/月の報酬を受け取れるのが利用者負担上限管理加算です。ただし、利用者が上限管理事業所のみを利用し、他事業所への通所がない月は算定できない点に注意しましょう。
まとめ
児童発達支援の上限管理は、児童が複数の事業所を利用した場合に発生する請求上の事務作業です。会計処理や経営でお悩みの方は、児童発達支援に強い「日本で唯一の障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献