児童発達支援は、原則0~6歳の障がい児を対象とする障がい福祉サービスです。障がい児の中には難聴児もいますが、肢体不自由児などにくらべると人数が少ない傾向があります。そのため、「児童発達支援が対象となる難聴児は、どれくらいいるのか」「難聴児を受け入れた場合、報酬体系に変化はあるのか」などの疑問がある方もいるでしょう。
そこで今回は難聴児の人数や受け入れ可能な事業所数のほか、児童発達支援に求められる役割や報酬体系について紹介します。
児童発達支援の対象になる難聴児の人数
厚生労働省のデータによると、児童発達支援の対象になる難聴児の人数は下表のとおりです。
一側難聴または両側難聴の診断者 | |
新生児期
乳幼児期 |
1,135人 |
幼稚部 | 1,123人 |
合計 | 2,258人 |
また、難聴児を受け入れる事業所は新生児期・乳幼児期が19か所、学齢期(幼稚部以上)が134か所になっています。以上を踏まえると、新生児期・乳幼児期に難聴児を受け入れる場所がとくに少ないことがよくわかるでしょう。
児童発達支援が難聴児を受け入れる際に求められる役割
早期の聴覚活用や言語発達を促す介入があれば、小学校に進学する際、難聴児も通常校に通える可能性が高まるといわれています。そういう意味でも、児童発達支援はろう学校の乳幼児教育相談とともに地域の難聴児支援の中心になる場所です。
しかし、先ほど紹介したように、難聴児を受け入れる児童発達支援センターは非常に少なくなっています。そもそも、児童発達支援センター自体が少なく、児童発達支援のうち約9%にとどまっているのが現状です(令和3年1月時点)。
難聴児に対しても手厚く途切れのない福祉サービスを提供するためにも、児童発達支援センターの設置は全市町村が果たすべき急務といえるでしょう。
児童発達支援で難聴児を受け入れた際の報酬体系
児童発達支援の基本報酬は令和3年度の報酬改定で見直されました。その中で、難聴児を受け入れた場合の基本報酬が別途設置されることに。具体的な単位数は、下表のとおりです。
利用定員 | 医療的ケア児 | 医療的ケア児以外 | ||
32点以上 | 16点以上 | 3点以上 | ||
20人以下 | 3,384 | 2,384 | 2,051 | 1,384 |
21~30人 | 3,191 | 2,191 | 1,858 | 1,191 |
31~40人 | 3,075 | 2,075 | 1,742 | 1,075 |
41人以上 | 2,975 | 1,975 | 1,642 | 975 |
※単位表記を省いています
また、人工内耳を装着している児童を受け入れている場合は、人工内耳装用児支援加算の算定も可能です。
利用定員 | 単位数 |
20人以下 | 603 |
21~30人 | 531 |
31~40人 | 488 |
41人以上 | 445 |
※単位表記を省いています
変更された報酬体系からも、「相応の報酬を出して、難聴児の受け入れ場所を増やしたい」という国の意図が伺えます。
まとめ
難聴児は児童発達支援の対象になるものの、いまだ受け入れ先が少ない状況が続いています。難聴児の受け入れを検討中の事業者や開業・経営でお悩みの方は、児童発達支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献