児童発達支援は、就学前の障がい児を対象とした障がい福祉サービスです。就学児よりも言葉でのコミュニケーションが苦手な利用者が多いため、支援には工夫や配慮が必要になります。
そこで役立つのが、児童教育や発達障がいの支援に関連した資格です。とはいえ、「無資格でも、とりあえず職員を集められれば児童発達支援は運営できるのでは?」と考える方もいるでしょう。
今回は、資格なしでも児童発達支援は働けるか紹介します。役立つ資格も一覧で解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
児童発達支援は資格なしでも働ける?
結論から言うと、児童発達支援は資格がなくても働けます。ただし、児童指導員の要件を満たさないと人員配置上は人数としてカウントできません。例外として、児童指導員等加配加算では、「その他職員」という要件においてのみ無資格者も人数に含められます。
また、開業前や開業直後で教育体制が整っていない場合、無資格者の採用はあまり現実的ではありません。開業後はただでさえ忙しく、無資格者の教育にあてる時間が少ないためです。
「教育ができなくても、ひとまず事業を回せればよい」と考える方もいるでしょう。しかし、そのままでは支援の質が上がりません。すると、既存利用者や保護者の満足度が下がるばかりか、悪い口コミが広がり集客に悪影響を及ぼします。
児童発達支援で無資格者を採用する場合は、開業直後をなるべく避けるか、教育体制を整えてから検討するようにしましょう。
児童発達支援で役立つ資格一覧
児童発達支援は支援の質や人員配置基準などを考えると、資格を持っている方を採用したほうが何かと有利です。ここでは、児童発達支援で役立つ資格を紹介します。事業者も児童発達支援で活きる資格を把握し、職員のキャリアアップ支援体制を整えましょう。
国家資格
児童発達支援で役立つ国家資格は、おもに次のとおりです。
- 保育士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 幼稚園教員
- 学校教員
- 公認心理士
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST) など
とくに、社会福祉士や学校教員は児童指導員任用資格を取得でき、将来的には児童発達支援管理責任者(児発管)の着任も可能になります。
児発管は新規採用では確保しにくい職種にもかかわらず、空白期間があると複数の減算が適用されてしまいます。減算の適用を避けて経営を安定させるためにも、児発管へのキャリアアップは優先的に支援したいところです。
その他の資格
人員配置基準には直接関係ありませんが、「あると支援に活かせる」という資格は次のようなものが挙げられます。
- 児童発達支援士
- 子ども発達障がい支援アドバイザー
- 発達障がい児支援士
- 早期発達障がい児支援士
- 発達障がいコミュニケーション指導者
- 発達障がい学習支援サポーター認定
- チャイルドカウンセラー
- 自閉症スペクトラム支援士
- 運動療育支援員 など
上記のような資格は、児童発達支援の利用者が持つ障がい特性や支援方法について学べます。資格によってはまだまだ認知度が低いものもあるため、事業所側から職員へ定期的に情報提供するのもひとつの方法です。
まとめ
児童発達支援は無資格でも働けますが、教育コストや人員配置基準などを考えると有資格者の採用が望ましいといえます。開業準備や採用でお悩みの方は、児童発達支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献