児童発達支援をはじめとした障がい福祉サービスのおもな収益源は、国保連に請求することで支払われる報酬です。しかし、利用料の1割分は利用者負担として保護者へ請求します。事業者にとっては事業を継続するために必要な分を請求したいところですが、「あまりに料金が高いと利用者離れにつながるのでは」と不安でしょう。
そこで今回は児童発達支援の利用者負担額について、料金相場や上限額などを紹介します。
児童発達支援の利用者負担①料金相場
結論から言うと、児童発達支援の利用者負担額は1回1,000円〜1,200円としている事業所が多いようです。保護者への請求は1割分のため、実質の利用料金は1回約1万円〜となります。
ただし、おやつ代などの食事費用は別途実費負担です。おやつの利用者負担額は、50円/回〜の事業所が多くなっています。
なお、児童発達支援に通う3歳〜5歳の利用者は保育園などと同様に、利用料が無償化になります。対象となる利用者がいる場合は重要事項説明書に無償化の対象であることを記載し、請求事務でも利用者負担額②で0円と設定することを忘れないでください。
児童発達支援の利用者負担②上限額
利用者負担額は世帯の収入状況によって、利用料金や食費の上限額が定められています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
利用者負担上限月額の区分
利用者負担上限月額は、下表のとおりです。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 | |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 | |
一般1 | 市町村民税課税世帯
(所得割28万円未満)※ |
通所施設
ホームヘルプ利用の場合 |
4,600円 |
入所施設利用の場合 | 9,300円 | ||
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※収入がおおむね890万円以下の世帯
ここでいう障がい児の世帯とは、保護者が属する住民基本台帳での世帯を指します。つまり、児童発達支援を利用する場合の利用者負担上限月額は、次のいずれかです。
- 0円
- 4,600円
- 37,200円
例えば、次のような利用者がいたとしましょう。
- 利用者の年齢:2歳
- 一般1の世帯=上限月額4,600円
- 児童発達支援の利用料金:1回1,000円
- 児童発達支援の利用回数:月8回
利用者の年齢が2歳のため、無償化の対象外です。ひと月の利用料金は8,000円ですが、一般1の世帯に該当するため利用者負担は4,600円になります。
食費の減免
児童発達支援のような障がい児通所サービスは、食費の減免もあります。食費の負担が軽減されるのは、低所得と一般1の世帯です。
区分 | 食費 |
低所得 | 2,860円 |
一般1 | 5,060円 |
一般2 | 11,660円※ |
※月22日利用の場合軽減なし
ただし、先ほども紹介したようにおやつ代は50円/回~とする事業所が多くなっています。料理教室などで食材料費を必要としない限り、食費の減免が必要になるケースはあまり考えられないでしょう。
まとめ
利用者負担額は利用料金の1割であり、世帯の収入状況によって上限額が定められています。利用料金の設定や経営でお悩みの方は、児童発達支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献