児童発達支援の開業を検討する際、必ず目にするのが医療型児童発達支援です。しかし、「普通の児童発達支援と何が違うのか」「身近にあまりないが、全国にはどれくらいの医療型児童発達支援があるのか」などの疑問を持つ方もいるでしょう。
そこで今回は、児童発達支援と医療型児童発達支援の違いについて紹介します。
児童発達支援と医療型児童発達支援の違い
児童発達支援と医療型児童発達支援は、サービス内容や人員配置基準に違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
サービス内容の違い
児童発達支援と医療型児童発達支援の違いは、医療機能を備えているかどうかです。医療型児童発達支援は、児童発達支援センターに医療機能が加わった事業になります。
児童発達支援センター | 医療型児童発達支援 | 児童発達支援事業所 | |
児童発達支援 | ◯ | 〇 | ◯ |
地域支援 | ◯ | 〇 | ✕※ |
医療機能 | ✕ | 〇 | ✕ |
※専門機関との連携や協議会への参加など地域との連携強化に向けた支援は行う
医療型は医療機能が求められることから、病院がサービスを提供しているところも少なくありません。
人員配置の違い
定員10名の場合、医療型児童発達支援と児童発達支援の人員配置基準はそれぞれ次のようになります。
医療型児童発達支援 | 児童発達支援 | |
管理者 | 1人以上(原則、専従) | |
児童発達支援管理責任者(児発菅) | 1人以上 | 1人以上(専従かつ常勤) |
児童指導員
または保育士 |
各1人以上 | ①障がい児が10人以下:2人以上
②障がい児が10人超: ①に加え5人または端数が増すごとに1人加えた人数
いずれも1人以上は常勤 営業時間を通じて配置※ |
看護職員 | 1人以上 | 医療ケアを行う場合、その時間帯のみ配置 |
理学療法士または作業療法士 | 1人以上 | |
機能訓練担当職員 | 言語訓練を行う場合に配置 | 機能訓練を行う場合、その時間帯のみ配置 |
その他 | 医療法に規定する診療所として必要とされる従業者と人数 |
児発管以外は原則専従ですが、直接支援の従業員を除き、障がい児の支援に支障がない場合は併設する社会福祉施設の業務に当たることができます。
児童発達支援と医療型児童発達支援の全国数を比較
児童発達支援と医療型児童発達支援の事業所、利用者数の推移は下表のとおりです。
【事業所数】
医療型児童発達支援 | 児童発達支援 | |
平成29年度 | 98か所 | 5,321か所 |
平成30年度 | 97か所 | 6,130か所 |
令和元年度 | 94か所 | 6,846か所 |
【利用者数】
医療型児童発達支援 | 児童発達支援 | |
平成29年度 | 2,308人 | 92,657人 |
平成30年度 | 2,218人 | 102,907人 |
令和元年度 | 1,986人 | 111,792人 |
事業所数・利用者数ともに児童発達支援は増加傾向にあるものの、医療型児童発達支援は減少傾向にあります。そもそも医療型児童発達支援は事業所数が少なく、令和元年度時点では児童発達支援の約1.4%です。新たに開業するにはハードルが高いため、今後も減少傾向が続くと推測されます。
まとめ
医療型児童発達支援は、児童発達支援センターに医療機能を加えたサービスです。障がい児通所サービスの中では珍しく、事業所数・利用者数ともに減少傾向にあります。
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参考文献