放課後等デイサービス(放デイ)の開業や運営は、自費だけではとうてい間に合わないほどに多額の資金がかかります。資金調達と聞くと、融資を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、資金調達する際は融資だけでなく助成金の申請がおすすめです。
そこで今回は助成金の概要を踏まえながら、放デイで利用できる助成金の例を紹介します。
放課後等デイサービスが利用できる助成金とは
助成金は、おもに厚生労働省が事業を支援するために交付するお金です。補助金と同様に、原則返済の義務がありません。
補助金と異なる点は、申請時期や支給率。申請期間が限定されている補助金に対し、助成金の多くは通年申請できます。また、補助金は支給枠が少ない傾向にありますが、助成金は条件が合致すればほぼ受給できます。申請しやすく、かつ受給率が高い点が助成金の大きなメリットといえるでしょう。
放課後等デイサービスが利用できる助成金の例
放デイが利用できる代表的な助成金は、次の3つです。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、キャリアアップを促進する施策を実施した事業所を支援する助成金です。7つのコースに分かれ、このうち次の2つが放デイで取り組みやすいものになっています。
実施内容 | 支給額 | |
正社員化コース | 正社員など安定度の高い雇用形態への転換 | 28.5~72万円+加算額
※転換先や対象者の状況(例:母子家庭の母)などによって支給額や加算額が異なる |
賃金規程等改定コース | 賃金規程などの増額改定 | 対象労働者が1~10人:1事業所あたり9.5~28.5万円+加算額
対象労働者が11~100人:1人当たり14,250~28,500円+加算額
※対象労働者の人数や範囲、企業規模などによって支給額や加算額が異なる |
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は労働環境を改善し、魅力ある職場づくりを通して人材の確保や定着を目指す事業所を支援する助成金です。9つのコースに分かれ、このうち次の3つが放デイで取り組みやすいものになっています。
実施内容 | 支給額 | |
雇用管理制度助成コース | 評価・処遇制度、研修制度、メンター制度などの導入 | 57~72万円 |
介護福祉機器助成コース | 介護福祉機器の導入 | 導入助成:機器費用の25%
目標達成助成:20~35%
※いずれも上限150万円 |
介護・保育労働者雇用管理制度助成コース | 賃金制度の整備 | 制度整備助成:50万円
目標達成助成(1回目):57~72万円 目標達成助成(2回目):85.5万円~108万円 |
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響によって休業手当などを支払う場合に、その一部を助成するものです。助成率は令和4年12月から改定されるため、すでに雇用調整助成金を利用している事業者は早めに確認しておきましょう。たとえば、中小企業の雇用調整助成金の助成率は次のように改定されます。
令和4年10月~11月 | 令和4年12月
~令和5年1月 |
令和5年2~3月 | |
原則的な措置 | 4/5(9/10)
8,355円 |
2/3
8,355円 |
|
地域特例
業況特例 |
4/5(10/10)
12.000円 |
— | |
とくに業況が
厳しい場合 (経過措置) |
— | 2/3(9/10)
9,000円 |
— |
※()内の助成率は解雇などを行わない場合
まとめ
放デイの資金調達は融資や補助金だけでなく、助成金という選択肢もあります。助成金の申請手続きでお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献