放課後等デイサービス(放デイ)は児童を預かるだけでなく、それぞれの障がい特性に合った支援の提供が必要です。支援内容の中には療育も含まれますが、開業者によっては「療育とは何?」「治療とは違うのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで今回は放デイで提供する療育とは何か、具体的なプログラムとあわせて紹介します。
放課後等デイサービスの療育とは
まずは、療育の定義や種類、効果について見ていきましょう。
療育の定義
療育とは、障がいのある児童に対し、充実した自立生活を送れるように支援することを指します。実際、厚生労働省のガイドラインでは放デイの基本的な役割を次のように定めています。
「生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与する」
つまり、訓練や教育をとおし、児童の利益を保障しつつ健全な育成を図るのが放デイの療育になるのです。
療育の種類
放デイを利用する児童は、「自分の気持ちや要望をうまく言葉にして伝えられない」「気持ちの切り替えが苦手」など、何らかの課題を抱えています。そのような児童に実施する療育は、おもに5つの種類があります。それぞれの目的と内容は、次のとおりです。
療育の種類 | 目的 | 内容 |
応用行動分析
(ABA) |
問題行動を適切な行動に変化させる | 問題行動の法則を見極め、強化/弱化/消去のいずれかで行動を制御する |
認知行動療法 | 思い込みなど認知の偏りを直す | 思考の癖を分析し、児童自身がストレスに対応できるようにする |
SST | コミュニケーション能力や自己管理能力の向上を図る | ロールプレイングやディスカッションなどを通じて必要なスキルを身につける |
箱庭療法 | 自分の心と向き合い、自己理解を促す | 箱の中のミニチュアを使って自己表現する |
TEACCH | 自閉症の特性を踏まえた多面的な支援を行う | 生活しやすいよう理解が容易なイラストを用いてやり取りする |
療育の効果
療育によって得られる効果は、おもに次の3つが挙げられます。
- 日常生活能力が向上する
- ストレスへの対処法が身につく
- 自己肯定感が高まる
周囲になじめない、多大なストレスがかかるなどによって起こる抑うつや不登校など、二次的な問題も療育によって防止できる可能性が高まるのです。
放課後等デイサービスにおける療育プログラムの例
放デイの療育プログラムは、事業所によってさまざまあります。たとえば、次のような内容です。
- 口の動きを真似て発声・発語につなげる
- 「ください」「これ見て」など要求語を習得する
- ごっこ遊びを通じてお金への理解を深める
- イラストを使った感情の理解・表出を練習する
- 時計を使って時間への理解を深める など
以上のような療育プログラムは、作業療法士などの専門職を配置することで、より専門性の高い内容を提供できます。質の高い療育ができれば利用者やその家族の満足度が上がり、利用継続につながるでしょう。
まとめ
放デイの療育は、児童が少しでも生活しやすくなるように支援するプログラムです。開業や運営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献