就労継続支援B型を開業する際には、管轄の行政庁へ指定申請します。申請前には、人員配置・運営・設備という3つの基準を満たすことが必要です。
今回は、就労継続支援B型の「設備基準」をピックアップ。最低定員や必要設備のほか、関係法令の概要を紹介します。
就労継続支援B型の設備基準
就労継続支援B型の設備基準における最低定員や必要設備は、それぞれ次のとおりです。
最低定員
就労継続支援B型の最低定員は「20名以上」。ただし、多機能型事業所の場合は「10名以上」となっています。
必要設備
就労継続支援B型の必要設備は、主に次の6つです。
- 訓練・作業室(サービス提供に支障ない広さ)
- 訓練・作業に必要な器具備品
- 洗面設備
- トイレ
- 相談室(間仕切りなど、プライバシーに配慮した作り)
- 多目的室その他の運営上必要な設備
訓練・作業室の広さは、利用者1人あたり3㎡以上とする自治体が多い傾向にあります。例えば、定員20名の就労継続支援B型であれば、最低60㎡以上の訓練・作業室が必要となるでしょう。
その他設備に関しても、利用者の障がい特性に応じた工夫が必要です。例えば、身体障がいを持つ利用者を想定し、トイレへの手すり設置や、移動・移乗しやすい広さの確保などが大切になってきます。
就労継続支援B型の設備基準に関わる法令
就労継続支援B型を開業する物件は、建築基準法や消防法の遵守も求められます。それぞれの概要は、次のとおりです。
建築基準法
建築物の床面積が200㎡超の場合は、用途変更の手続きが必要です。また、床面積が200㎡以下でも建築確認済証の取得や、各種条項への適合を求められます。
消防法
障がい福祉サービスを運営する建築物は消防法上、「6項ロ」と「6項ハ」という2つの用途に分かれます。このうち、就労継続支援B型は「6項ハ」に属し、次のような消防設備が必要です。
【全ての建築物で必要】
- 自動火災報知設備
- 誘導灯
【条件によっては必要】
- 消火器(延べ面接150㎡以上)
- 屋内消火栓設備(延べ面接700㎡以上)
- スプリンクラー設備(床面積合計6,000㎡以上)
- 自動火災報知設備(入居・宿泊なし、延べ面積300㎡以上)
- 漏電火災警報器(延べ面積300㎡以上)
- 火災通報装置(延べ面積500㎡以上)
- 非常警報設備(収容人数50人以上)
- 避難器具(20人以上/下階に病院や診療所、公衆浴場、工場または作業場、自動車車庫または駐車場、倉庫などがある場合は10人以上)
また、間仕切壁などに耐火性能を持たせる、排煙設備や防火区域の設置などの対応も必要となります。
まとめ
就労継続支援B型の指定申請では、設備基準や各種法令の条件を満たすことが必要です。開業や指定申請についてお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献